監修・執筆:歯科医師 浅野真秀
歯周病の歯磨き粉を探している方の多くは、「歯ぐきから血が出る」「口臭が気になる」「歯槽膿漏と書かれた商品を買ったほうがいいのかな」と不安になっているのではないでしょうか。
ドラッグストアに行くと、歯周病予防、歯槽膿漏対策、歯ぐきの出血予防、殺菌、抗炎症、高濃度フッ素など、いろいろな言葉が並んでいます。こうなると、結局どれを選べばいいのか分からなくなりますよね。
そこで今回は、歯周病予防に役立つ、日本で現実的に買いやすい歯磨き粉おすすめ5選を、成分と使い分けの視点からお話しします。
ただし、最初に大事なことをお伝えしておきます。
どんなに高い歯磨き粉を買っても、それだけで進行した歯周病が治るわけではありません。
こう聞くと、少しショックですよね。昨日まさに「歯槽膿漏に効く」と書かれた高い歯磨き粉を買ってきた、という方もいるかもしれません。でも、半分正解で、半分は惜しいんです。
歯磨き粉は、あなたの歯ぐきを守るうえでとても優秀なパートナーです。けれど、主役ではありません。主役は、毎日のブラッシング、フロスや歯間ブラシ、そして必要に応じた歯科医院でのケアです。
この記事では、まず「どの歯磨き粉を選べばいいのか」をランキング形式でお伝えし、その後で「なぜ歯磨き粉だけではダメなのか」「明日から何をすればいいのか」まで、できるだけ分かりやすくお話しします。
歯周病の歯磨き粉おすすめ市販品は、目的別に選ぶのが正解です
歯周病向けの歯磨き粉は、「一番高いものを選べばいい」という単純な話ではありません。歯ぐきの出血が気になるのか、歯垢が残りやすいのか、歯周病治療後の再発予防を意識したいのかによって、選ぶべきタイプが変わります。
ここで大事なのは、商品名ではなく「自分が何を改善したいのか」です。
たとえば、今は歯がグラグラするほどではなく、将来のために歯周病予防を始めたい方。歯磨きのたびに血が出て、歯ぐきの炎症が気になっている方。歯科医院で「歯垢が多いですね」と言われたことがある方。インプラントや歯周病治療後で、セルフケアを丁寧に続けたい方。
同じ「歯周病が気になる」という悩みでも、状態は少しずつ違います。
その前提で、今回は次の5本を紹介します。
第5位:ガム・デンタルペースト|歯周病予防を毎日続けたい人の定番
第5位は、サンスターのガム・デンタルペーストです。

昔からある定番なので、ドラッグストアで見かけたことがある方も多いと思います。価格を抑えながら、毎日無理なく続けやすい。まさに、歯周病予防のスタンダードモデルです。
この製品のポイントは、CPC、つまり塩化セチルピリジニウムという殺菌成分です。CPCは、歯周病の原因となる細菌にアプローチする代表的な成分の一つです。
さらに公式情報では、殺菌した後に残る菌の破片、LPS、つまりリポ多糖も吸着除去すると説明されています。菌を倒すだけではなく、菌の残骸まで掃除しやすくする、という考え方ですね(2)。
ここで少し補足します。歯ぐきに炎症を起こす原因は、生きている菌だけとは限りません。菌が壊れた後に残る成分も、歯ぐきにとっては刺激になることがあります。だから、殺菌だけではなく、汚れや刺激物をきちんと落とす発想が大切なんです。
ガム・デンタルペーストには、抗炎症成分のGK2、グリチルリチン酸ジカリウムも入っています。これは歯ぐきの炎症を防ぐ方向に働く成分として配合されています。さらに、2025年のリニューアルに関するサンスターの発表では、ガム・デンタルペーストは高濃度フッ素1450ppm配合になったとされています(2)。
この歯磨き粉が向いているのは、次のような方です。
「今は強い症状はないけれど、将来のために歯周病予防を始めたい」
「高価な製品をたまに使うより、続けられる製品を毎日使いたい」
「歯周病予防と口臭予防、むし歯予防をバランスよく考えたい」
歯周病対策は、短距離走ではなく長距離走です。高機能でも続かないものより、毎日使えるものを選ぶ。これはとても現実的な考え方です。
第4位:ガム・プレミアム デンタルペースト|歯ぐきの炎症まで意識したい人へ
第4位は、同じくサンスターのガム・プレミアム デンタルペーストです。

金色のパッケージなので、店頭で見かけて気になった方もいるかもしれません。2026年3月30日に新発売された「金のガム・プレミアム」シリーズの一つで、公式発表では、殺菌剤CPCに加えて、薬用保護成分β-GR、つまりβ-グリチルレチン酸をG・U・Mシリーズ史上最大濃度で配合していると説明されています(3)。
普通のガムと何が違うのか。ここが気になりますよね。
従来のガムが、CPCによる殺菌とGK2による炎症予防を中心にしたスタンダードな設計だとすれば、ガム・プレミアムは、もう少し歯ぐきの炎症や歯の土台を意識した製品です。
歯周病は、単に「菌がいる病気」ではありません。細菌に対して体が炎症反応を起こし、その炎症が長く続くことで、歯ぐきや歯を支える骨など、歯の土台となる組織にダメージが蓄積していく病気です。
つまり、菌を減らすだけでなく、歯ぐきの炎症にも目を向けることが大切なんです。
公式サイトでは、ガム・プレミアム デンタルペーストについて「ハグキの炎症を抑えて、重度の歯周病である歯周炎まで防ぐ」と説明され、高濃度フッ素1450ppm配合であることも示されています。ただし、公式サイト上でも「本品は、ハグキのハレや赤みを改善するものではありません」と注意書きがあります(3)。
ここは、とても大事です。
「歯周炎まで防ぐ」という表現は、あくまで医薬部外品としての予防の話です。すでに腫れている、出血が続く、歯が揺れる、膿が出るという場合に、歯磨き粉だけで治そうとしてはいけません。原因の一つとして歯周病が考えられ、診断には歯科医院での検査が必要です。
この歯磨き粉が向いているのは、次のような方です。
「歯磨きはしているけれど、歯ぐきの腫れや出血を繰り返しやすい」
「一般的な歯周病予防用の歯磨き粉より、もう一段階しっかりケアしたい」
「歯ぐき下がりや歯の土台が気になり始めた」
新しい製品だから無条件に一番良い、という意味ではありません。あくまで、自分の悩みに合っているかで選びましょう。
第3位:デントヘルス 薬用ハミガキ DXプレミアム|歯ぐきの出血や衰えが気になり始めた人へ
第3位は、ライオンのデントヘルス 薬用ハミガキ DXプレミアムです。

先ほどのガムシリーズが幅広い方に使いやすい歯周病予防の製品だとすると、こちらはもう少し、歯ぐきの衰えや出血が気になり始めた方を意識した処方です。
特に注目したいのが、IPMP、イソプロピルメチルフェノールという殺菌成分です。
歯周病菌は、歯の表面に一匹ずつバラバラに浮いているわけではありません。細菌同士が集まって、ネバネバしたバイオフィルムを作ります。イメージとしては、排水溝のヌルヌルに近いものです。普通の汚れではなく、細菌の要塞のようになっているんですね。
デントヘルス 薬用ハミガキ DXプレミアムでは、ライオン公式情報で、殺菌成分IPMPと抗炎症成分TXA、つまりトラネキサム酸を同社内で最大濃度配合し、歯槽膿漏、歯ぐきの出血、口臭をトータルケアすると説明されています(4)。
トラネキサム酸は、歯ぐきの腫れや出血を抑える方向に働く抗炎症成分として配合されています。さらに、歯ぐきの血行を促進するビタミンE、炎症の元になる老廃物の蓄積を抑えるとされるGK2、歯ぐきを引き締める成分として塩化ナトリウムも配合されています(4)。
つまり、単に殺菌するだけではありません。
菌を減らす。
炎症や出血を抑える。
弱ってきた歯ぐきの状態を整える。
同時にむし歯も予防する。
こうした複数の方向から考えられた製品です。高濃度フッ素1450ppmも配合されています(4)。
この歯磨き粉が向いているのは、次のような方です。
「最近、歯を磨くと血が出る」
「歯ぐきが少し下がってきた気がする」
「若い頃と同じ歯磨き粉でよいのか不安になってきた」
「40代以降で、歯ぐきの変化を感じ始めた」
ただし、出血が続く場合は、歯磨き粉を変えるだけで様子を見続けないでください。歯石や深い歯周ポケットが原因になっている場合、自分の歯ブラシでは届かない場所に問題があることがあります。
第2位:カムテクト プレミアム 歯ぐきケア|歯垢が残りやすい人に現実的な候補
第2位は、Haleonのカムテクト プレミアム 歯ぐきケアです。

この製品の面白いところは、先ほどまでの製品とは少し発想が違うことです。
カムテクトシリーズには、清掃剤として炭酸水素ナトリウム、いわゆる重曹が成分の約70%に配合されています。公式サイトでは、重曹が歯面の根元の頑固な歯垢をやわらかくして除去する、と説明されています(5)。
「えっ、重曹? キッチンやお風呂場の掃除に使う、あの重曹ですか?」と思う方もいるかもしれません。
そうです。ただし、ここは絶対に誤解しないでください。家庭用の重曹をそのまま歯ブラシにつける、という話ではありません。歯磨き粉として、口の中で使えるように処方された製品を使うことが大前提です。
カムテクトに使われている重曹は、単なる殺菌剤というより、歯の根元や歯ぐきとの境目に残りやすい粘り気のあるプラークを除去しやすくする清掃剤として考えると分かりやすいです。
歯周病菌を直接攻撃するというより、菌が住みついている汚れを落としやすくする。こういうイメージです。
ここで、根拠も見ておきましょう。2022年に発表されたシステマティックレビューとメタ解析では、67%重曹配合歯磨剤に関するランダム化比較試験7本がまとめられ、重曹配合歯磨剤の使用群では歯肉炎指数、出血指数、プラーク指数の改善が報告されています(6)。ただし、含まれた研究にはバイアスリスクがあるものもあり、「重曹なら何でもよい」「重曹だけで歯周病が治る」とまでは言えません。
カムテクト プレミアム 歯ぐきケアには、重曹だけでなく、殺菌成分IPMP、抗炎症成分MAG、つまりグリチルリチン酸モノアンモニウム、歯ぐきの血行を促進するビタミンEも配合されています。公式の製品情報では、カムテクト プレミアム 歯ぐきケアの成分として、炭酸水素ナトリウム、フッ化ナトリウム、IPMP、トコフェロール酢酸エステル、MAGなどが示されています(5)。
この歯磨き粉が向いているのは、次のような方です。
「磨いているのに、歯の表面がザラつきやすい」
「歯の根元や歯ぐきとの境目に汚れが残りやすい」
「歯科医院で歯垢が多いと言われたことがある」
「歯垢除去を意識した歯磨き粉を選びたい」
一方で、重曹特有の味や磨き心地は、好みが分かれるかもしれません。どれほど成分が良くても、使い続けられなければ意味がありません。まずは一本使ってみて、自分に合うかを確認してください。
第1位:Systema SP-T ジェル Plus|歯周病リスクが高い人のオールラウンダー
第1位は、ライオン歯科材のSystema SP-T ジェル Plusです。

歯科医院でも取り扱われることが多い製品で、歯周病リスクが高い方に対して、複数の方向からアプローチするオールラウンダーと考えると分かりやすいです。
今回は「市販で買える歯磨き粉」というテーマですが、厳密には歯科医院での取り扱いが中心の製品です。ただ、現在はネットで目にすることもあるため、実用性を考えてランキングに入れています。
この製品は、単一の成分だけで勝負しているわけではありません。
まず、殺菌成分のIPMP。公式情報では、IPMPが歯周病原細菌を含むバイオフィルムの内部に浸透・殺菌すると説明されています(7)。
ただし、ここは少し冷静に見てください。バイオフィルムを歯磨き粉だけで完全に何とかできるなら、それはとてもすごい話です。でも実際には、分厚いバイオフィルムや歯石、深い歯周ポケットの中の汚れは、歯ブラシや歯磨き粉だけでは落とせないことがあります。
だから、IPMPは有用な殺菌成分として考えつつも、「これだけで歯周病が治る」と期待しすぎないことが大切です。
さらに、Systema SP-T ジェル Plusには、GK2、ビタミンE、トラネキサム酸が配合されています。公式情報では、GK2は口腔内細菌叢、いわゆる口内フローラに着目した成分として説明され、ビタミンEとトラネキサム酸は歯肉ケアの成分として示されています。高濃度フッ素1450ppm、研磨剤無配合であることも特徴です(7)。
ここで「口内フローラ」という言葉が出てきます。口の中には、非常に多くの種類の細菌がいます。全部の菌をゼロにすることはできませんし、それを目指す必要もありません。大切なのは、歯周病に関係する菌が増えにくい環境を、日々のケアで保っていくことです。
そして、もう一つ大きな特徴が、研磨剤が入っていない高粘性のジェルタイプであることです。
普通の歯磨き粉は、短時間でスッキリするように作られているものも多いです。一方で、SP-T ジェル Plusは、粘性の高いジェルが歯ぐきや歯周ポケット周辺にとどまりやすく、泡立ちや研磨感に頼らず、弱っている部分を丁寧に磨きやすい設計です。
この歯磨き粉が向いているのは、次のような方です。
「歯ぐきが下がって根元が露出している」
「出血しやすいので、力を入れずに時間をかけて磨きたい」
「歯周病の治療後で、再発をできるだけ防ぎたい」
「インプラントが入っているので、セルフケアを丁寧に続けたい」
一方で、コーヒーやタバコの着色汚れをしっかり落としたい方には、目的が合わないことがあります。研磨剤無配合なので、ステインを落とす目的では別の選択肢が必要になる場合があります。
歯周病歯磨き粉の成分は、CPC・IPMP・抗炎症・フッ素で見る
歯周病向けの歯磨き粉を選ぶときは、パッケージの迫力だけでなく、成分の役割を見ることが大切です。殺菌成分、抗炎症成分、清掃補助成分、フッ素の4つを意識すると、選びやすくなります。
まず、殺菌成分としてよく出てくるのがCPCとIPMPです。
CPCは、ガムシリーズに代表される殺菌成分です。歯周病菌への殺菌や、口臭予防を意識した製品で使われます。IPMPは、デントヘルス、カムテクト、SP-Tなどで登場し、バイオフィルムへの浸透殺菌を打ち出す製品でよく見られます。
抗炎症成分としては、GK2、β-GR、TXA、MAGなどがあります。歯ぐきの腫れや出血が気になる方は、殺菌だけでなく抗炎症の視点も大切です。
清掃補助成分としては、カムテクトの重曹が分かりやすい例です。歯垢そのものを落としやすくする設計ですね。
そして、忘れてはいけないのがフッ素です。歯周病が気になる方でも、むし歯予防は同時に必要です。特に歯ぐきが下がって根元が見えてくると、根面う蝕、つまり歯の根元のむし歯リスクが高くなることがあります。だから、歯周病向けの歯磨き粉でも、フッ素配合は大切なポイントです。
ただし、1450ppmなどの高濃度フッ素配合歯磨剤は、一般に6歳未満への使用を控える注意が記載されている製品が多いです。家族で共用する場合は、パッケージ表示を必ず確認してください。
歯磨き粉だけで歯周病が治らない本当の理由
ここからが、実は一番大事な話です。
これだけ良い成分が入った歯磨き粉でも、なぜ「補助」なのか。なぜ、歯磨き粉だけで歯周病は治らないのか。
厚生労働省の歯周病検診マニュアル2023では、歯周病の主たる病因は細菌性プラークであり、歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス、歯磨剤、洗口剤などを使ったセルフケアによって炎症を抑制できる疾患である一方、検査結果に基づく指導が重要だと説明されています(1)。
つまり、歯磨き粉だけが主役ではありません。
ここで、排水溝のヌルヌルを思い出してください。

お風呂場やキッチンの排水溝に、ヌルヌルした汚れがつくことがありますよね。あれに洗剤をサーッとかけるだけで、ピカピカになりますか。
ならないですよね。
結局、ブラシでこすり落とさないと落ちません。歯周病の原因になる歯垢、専門的にはプラークやバイオフィルムと呼ばれるものも、イメージとしてはこれに近いんです。
バイオフィルムは、細菌が自分たちを守るためにバリアを張り、城を作っているような状態です。どんなに素晴らしい殺菌成分が入った歯磨き粉でも、分厚いバリアの中まで十分に届かないことがあります。
だから、まずは物理的にこすり落とすことが絶対条件です。
歯磨き粉は、洗剤のような補助役です。汚れを落としやすくしたり、菌の増殖を抑えたり、炎症を防ぐ方向に働いたりします。でも、汚れを実際に落とす主役は、歯ブラシ、フロス、歯間ブラシです。
さらに、歯石になってガチガチに固まってしまったものや、深い歯周ポケットの奥にあるバイオフィルムは、歯ブラシでは届きません。そういう場合は、歯科医院で専用の器具を使って落とす必要があります。

歯ぐきから血が出る、腫れが続く、口臭が強い、歯が浮く感じがする、歯が揺れる、噛むと痛い。こうした症状がある場合は、歯磨き粉を変える前に、まず歯科医院で状態を確認してもらってください。
世界のエビデンスで見る注目成分:フッ化第一スズとトリクロサン
日本で買いやすい製品とは別に、世界の研究で評価されてきた成分もあります。
代表的なのが、安定化フッ化第一スズ、SnF2です。2019年のシステマティックレビューでは、安定化フッ化第一スズ配合歯磨剤が、歯石、プラーク、歯肉炎、ステイン、口臭の減少に肯定的な効果を示したと報告されています。ただし、著者らは、よりよく設計された新しいランダム化試験が必要とも述べています(8)。
もう一つ、歴史的に有名なのがトリクロサン/コポリマー配合歯磨剤です。Cochraneレビューでは、フッ素のみの歯磨き粉と比べて、プラーク22%、歯肉炎22%、歯ぐきの出血48%の減少が報告されています。一方で、歯周炎の予防については十分な証拠がないとされています(9)。

ここで大事なのは、数字だけに飛びつかないことです。
48%出血が減ったと聞くと、すごい成分に見えますよね。ただし、これは歯肉炎レベルの出血指標の話で、進行した歯周炎そのものを防げるかは別問題です。さらに、トリクロサン配合歯磨剤は安全性や環境面の懸念などもあり、現在は世界的に店頭で一般的に探して買う対象ではなくなっています。Cochrane Library上にも、トリクロサン含有歯磨剤は2019年初めの時点で商業的に入手できなくなっている旨の記載があります(9)。
ですから、海外の強い成分を個人輸入して使えばいい、とは考えないでください。成分の安全性の担保が難しかったり、日本人の口の粘膜には刺激が強すぎたりする可能性もあります。
日本で買える歯磨き粉にも、有力な選択肢はあります。大切なのは、自分の口の状態に合ったものを、正しく選んで、正しく使うことです。
歯ぐきの出血がある人は、歯磨き粉より先に「届いているか」を見直す
歯ぐきから血が出ると、「出血に効く歯磨き粉を買わなきゃ」と思いますよね。その気持ちはよく分かります。
でも、ここで一度考えてほしいんです。
血が出ている場所に、歯ブラシの毛先は本当に届いていますか。歯と歯の間は、歯ブラシだけで掃除できていますか。歯ぐきの境目を、力任せではなく、やさしく丁寧に磨けていますか。
歯と歯の間のプラークは、どんなに良い歯磨き粉を使っても、普通の歯ブラシだけでは落ちにくい場所です。ここを残したまま高い歯磨き粉だけを使っても、思ったような結果は出にくいです。
Cochraneレビューでは、歯ブラシに加えてフロスや歯間ブラシを使うことで、歯肉炎やプラークが減る可能性があると報告されています。ただし、エビデンスの確実性は低いから非常に低いとされ、効果の大きさには慎重な見方も必要です(10)。
ここは現場感覚としても、とても大事です。
フロスや歯間ブラシは、ただ使えばいいわけではありません。サイズが合っていない歯間ブラシを無理に入れると、歯ぐきを傷つけることがあります。フロスも、勢いよくバチンと入れると歯ぐきを傷めます。
だからこそ、歯科医院で「自分に合うサイズ」「入れる角度」「使う順番」を教えてもらうことが重要です。
高い歯磨き粉を探す時間を、フロスや歯間ブラシを使う時間に変える。これだけで、毎日のケアの質はかなり変わります。
明日からできる最強の歯周病予防習慣
結論として、今日の夜からやってほしいことはシンプルです。
まず、歯磨き粉は補助と割り切ること。
次に、歯間ブラシやフロスを必ず併用すること。
そして、定期的に歯科医院でプロのケアを受けることです。
ここで「またフロスですか」と思った方もいるかもしれません。面倒ですよね。分かります。でも、歯と歯の間のプラークは、歯ブラシだけではどうしても残りやすいんです。
お金をかけて高い歯磨き粉を買うより、数百円のフロスや歯間ブラシを毎日使うほうが、あなたの歯を守ってくれることがあります。
もちろん、歯磨き粉は大事です。今回紹介した製品には、それぞれ意味があります。
予防目的で毎日無理なく続けたいなら、ガム・デンタルペースト。
歯ぐきの炎症を意識した市販品を選びたいなら、ガム・プレミアム。
腫れや出血、歯ぐきの衰えが気になり始めたなら、デントヘルス DXプレミアム。
粘り気のある歯垢を日々のブラッシングで落としたいなら、カムテクト。
歯周病リスクが高く、歯科医院で状態を確認しながら丁寧にケアしたいなら、Systema SP-T ジェル Plus。
こうやって、目的に応じて選ぶことが大切です。
そして、歯ぐきから血が出る方に最後にもう一度だけお伝えします。
出血は、体からのサインです。歯磨き粉で隠すものではありません。原因の一つとして歯周病が考えられますが、実際には磨き残し、歯石、強すぎるブラッシング、合っていない被せ物、全身状態など、複数の要因が関わることもあります。
歯磨き粉は、あなたの努力を助けてくれる優秀なパートナーです。
でも、主役はあなたの日々のケアです。
正しく選んで、正しく使いましょう。
7. よくある質問
Q1. 歯周病におすすめの歯磨き粉はどれですか?
予防目的で続けやすいものならガム・デンタルペースト、歯ぐきの出血や衰えが気になるならデントヘルス DXプレミアム、歯周病治療後やインプラント周囲のセルフケアを丁寧にしたいならSystema SP-T ジェル Plusが候補になります。ただし、症状がある場合は歯科医院で原因を確認してください。
Q2. 歯磨き粉だけで歯周病は治りますか?
歯磨き粉だけで進行した歯周病を治すことはできません。歯周病の主な原因は細菌性プラークであり、歯ブラシ、フロス、歯間ブラシ、歯科医院での歯石除去などを組み合わせる必要があります(1)。
Q3. 歯ぐきから血が出るときは、どの歯磨き粉がいいですか?
出血が気になる方には、トラネキサム酸や抗炎症成分を含む製品が候補になります。たとえばデントヘルス DXプレミアムは、IPMP、TXA、ビタミンE、GK2などを配合しています(4)。ただし、出血が続く場合は歯周病や歯石が原因のことがあるため、歯科医院で検査を受けてください。
Q4. 重曹入り歯磨き粉は歯周病に効果がありますか?
67%重曹配合歯磨剤については、プラークや歯肉炎、出血指標の改善を示したシステマティックレビューがあります(6)。ただし、重曹だけで歯周病が治るわけではなく、歯ブラシや歯間ブラシで物理的にプラークを落とすことが前提です。
Q5. フロスと歯間ブラシはどちらがいいですか?
歯と歯の隙間が狭い方はフロス、隙間がある方は歯間ブラシが使いやすいことが多いです。Cochraneレビューでは、歯ブラシに加えてフロスや歯間ブラシを使うことで歯肉炎やプラークが減る可能性があり、歯間ブラシはフロスより効果的な可能性も示されていますが、証拠の確実性は低いとされています(10)。
参考文献
1/厚生労働省. 歯周病検診マニュアル2023. 2023.
2/サンスター. ガム・デンタルペースト製品情報、G・U・Mリニューアル発表. 2024-2026.
3/サンスター. ガム・プレミアム デンタルペースト製品情報・プレスリリース. 2026.
4/ライオン株式会社. デントヘルス薬用ハミガキ DXプレミアム製品情報. 2026
5/Haleon. カムテクト製品情報. 2026確認./URL/重曹約70%、IPMP、MAG、ビタミンE、カムテクト プレミアム 歯ぐきケアの成分情報
6/Taschieri S, Tumedei M, Francetti L, Corbella S, Del Fabbro M. Efficacy of 67% Sodium Bicarbonate Toothpaste for Plaque and Gingivitis Control: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Evidence Based Dental Practice. 2022;22(2):101709.
7/ライオン歯科材. Systema SP-T ジェル Plus製品情報. 2026
8/Johannsen A, Emilson CG, Johannsen G, Konradsson K, Lingström P, Ramberg P. Effects of stabilized stannous fluoride dentifrice on dental calculus, dental plaque, gingivitis, halitosis and stain: A systematic review. Heliyon. 2019;5(12):e02850.
9/Riley P, Lamont T. Triclosan/copolymer containing toothpastes for oral health. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2013;CD010514.
10/Worthington HV, MacDonald L, Poklepovic Pericic T, Sambunjak D, Johnson TM, Imai P, Clarkson JE. Home use of interdental cleaning devices, in addition to toothbrushing, for preventing and controlling periodontal diseases and dental caries. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2019;CD012018.











